2003.1.29
美食の国フランスにおいても家庭では手抜き料理が横行しているとのリポート。悲しいですね。亭主が自分で作ればいいのでしょうが、あまり台所にしゃしゃり出るのも良くないし・・・、時代の変化に自分を合わせるしかないのかな。
Etats d'âme en cuisine (2003.1.29)
料理への愛着状況
専門家は、20才から35才の女性の間で、一種の「料理ノウハウの欠落現象」が見られるという。
「料理をするのは私は大嫌い。おいしいものを食べたりお招きをしたりするのは好きなんだけれど、台所に立つと考えただけで厭になるわ。だから高いお金を出して出来上がったお総菜を買ったり料理の宅配を頼むの。ごめんけど、買い物は嫌いだし、台所で3時間もかけてお料理を作るなんて、絶対にいや」
32才のマチルドさんは、このように料理が出来ないことを、彼女のお母さんとは違って、隠そうともしない。彼女だけの特別のケースだろうか? そうでもないようだ。栄養摂取学の専門家は最近20才から35才までの大都市の勤労女性の間で。一種の「料理ノウハウ欠落現象」がみられはじめていることに注目している。女性はそのようになっているのは、疑いもなく、結婚したカップルの間で、男性は依然として食事の支度にはほとんど関与していないからだそうだ。男性は、たまに週末、みんなの受けを狙って料理を見せびらかすぐらいで、その時ですら後片付けはしない。
一方で、同じような驚くような研究がある。国立経済研究所が最近発表した研究は、週末の豪華食事がえらく流行っていることを強調している。料理学校や料理雑誌が売れているというのだ。しかし、それでもパスタを冷水から茹でるようなことをする料理下手の女性は想像以上に多いのだ。料理嫌いの女性は非常な数に上るようだ。クレドック研究所の専門家は「フランスにおいて、料理の仕方を知らないとなかなか白状できないので(格好悪いと思われているので本当のことは言わないので)調査は簡単ではないが、グループテストなんかで特別の調査をすると明らかに女性の間で料理技術の低下が見られる」という。
「遡って原因を考えれば、世代間の技術移転の断絶がある。料理に興味がない女性は1968年5月世代の母親の子供である」と社会学者は言う。60年代の後半、当時30歳以下の女性は、母親から料理のやり方を教わることを、古くさい女性蔑視に繋がる習慣だとして拒絶したのである。彼女たちが年をとるにつれ、彼女達は昔の料理の良さを再発見することとなったが、ずっと長い間、料理書などは女性解放の妨げとなると信じてきたので、いまさら自分たちの娘に煩雑なスフレの作り方などを教えようとはしないのである。
「若い女性達には、自分たちの母親が何も教えてくれなかったと怒りを表したり母親を責めたりする人たちもいる。でも自分たちで勉強して遅まきながらも料理をうまくなりたいとの気持ちはあり習い始めている。作り方を知らない異国料理の影響もある」と別の研究所の所長は言う。だったら安心だ。
フランスの美食の名声が傷ついていうのはこればかりではない。フランスにおいて、どうも「食」と言うことがかなり複雑になっているようだ。矛盾した現象が見られる。「老年世代は別として、いまフランスにおいては「食べ物の用意」というのと「料理する」と言うことが区別されるようになっている」という。週末には豪華な食事を用意するが忙しいウィークデイは簡単な出来合いのもので済ますというやり方だ。女性の仕事という一般的な風潮のなか、都市生活スタイルの発展したのに男女間の分業が進展しないことで女性に過大な負担がかかっている。食事の準備にかける平均時間は、1988年から2000年にかけて、42分から36分に減少した。電子レンジで冷凍食品を温めたり宅配ピザを利用したりする人が増加したのだ。(宅配ピザの利用者は1995年に5%だったものが、2000年には9%に達した)
冷凍食品メーカーなどでメニューの種類を増やす努力をしているのだが、この(いいかげんなもので済ますという)悪い傾向は変わらない。米国では、フランスのように食文化は進んでいないが、家庭の主婦はエプロンを返上しかけている。ある調査期間の調査では、米国人主婦の半数は、特に若い世代では、凝った夕食を作るのに時間をかけることはとても出来ないと宣言しているとのこと。また三分の二の主婦が「食事準備の手間を省く方法」を探しているとのこと。
フランスにおいて、乳業情報センターが長年研究してきたが、三分の一の成人は、特に女性と若い世代は、料理を作ることは「厭な仕事」とか「義務的な仕事」と考えている。特にフランス北部と西部において顕著である。この二つの地方は体重過多が顕著に見られる地域だ。この料理嫌いの傾向に食品産業は懸念を示している。だから販売する商品も一時は「ちょっと手を加えれば出来上がり」というタイプのものから、今や「超簡単。豪華要理出来上がりパック」が主流になりつつある。「料理がいつまで経っても女性の責任とされているのに、女性はますます忙しくなってきており、特にウィークデイの夕食はこんなものが好まれる」と食品メーカーの販売責任者は言う。彼は続けて「お母さんを責めるのではなくお母さんの責任を輕くしてあげることが大切である。夕食と言うものは料理の質で判断されるものではなく、主婦が如何に夕食の暖かい雰囲気を作ったかで判断されるべきものだ」と強調する。「夕食の暖かい雰囲気」というのは電子レンジで温められるものかしらね?
Jean-Michel Normand
・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 29.01.03
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